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退職した4人の銀行員による4つの真実

褒められもせず苦にもされず

幽霊はいないのに「海王星は存在する」となぜ言い切れる。

 

幽霊の存在有無についてはしばしば議論されるが、私たちは海王星の是非についての議論は行わない。

最もありきたりな答えはこうだ。

「幽霊は物質として存在しないが、海王星は物質として存在している。幽霊が存在するというのであれば、今ここで見せて欲しい。」

 

私たちは小学校で「水金地火木土天海冥」を復唱し、太陽系の惑星について学んだ。

おそらく理科の教科書にも載っているだろうし、そうでなくてもググれば一発で海王星の画像を見ることができる。

イメージ通り、海王星は青い球体だ。

加えてフランス人天文学者が19世紀半ばに望遠鏡観測によって実在を確認したことを知ることができる。

 

同様に幽霊とググって欲しい。

イメージ通り、貞子の画像がスマホ画面を埋め尽くす。

加えて霊体験の多くを読むことができる。

 

 

では海王星同様、幽霊も存在するのだろうか。

 

 

順を追って説明していこう。

そもそも論として海王星は存在しているのだろうか。

教科書に載っているからという理由だけでそれを真実と判断している可能性が拭えない。

結論から言ってしまうと、海王星は間違いなく存在する。が、それはマテリアルとしてではなく人類が共有するイメージとしてだ。

海王星を実際に目視したものは人類の1%にも満たないだろう。

多くの人々が認識していることは高性能な望遠鏡を使えば海王星を目視することができるだろうという不確かな事実のみだ。だが、この事実は驚くほどに信憑性が高い。それは別に信用力の高い機関や有能な学者がオンライン上に情報を発信したり論文を発表しているからではない。地球上の大半の人間が海王星は存在するというイメージを共有しているからである。

海王星を発見した学者が論文を発表し、その写真や複雑な数式を元に学者界隈で信頼を得る。大きなアンチテーゼが現れず、その発見が一般人に馴染みのあるものであればメディアが取り上げ、気づけば常識として私たちの頭の中にインプットされる。そんな感じのフローを経て、私たちの脳内には海王星という全人類間で統一された青い球体が存在しているのだ。

 

 

一方幽霊はどうだろう。

少なくともある程度信用力のある機関が存在を示唆する記事を出していたり(http://www.asahi.com/articles/ASHDY737QHDYUNHB00B.html)、もっともらしい写真も多々ある。霊体験をしたことがある人に出会うことも難しくない。霊の存在を示唆する情報はそこら中に溢れており、もはや数学的に証明できる論文がないなどと言ってソースの信憑性を疑うのはナンセンスな気がしてならない。

しかしこれらを考慮しても依然として「幽霊はいない」と断言する人はいるし、それを確実に否定できる友人は恐らくいない。

 

この海王星と幽霊の差は以下に基づく。

幽霊のイメージをインストールさせないような別のイメージを私たちが共有していること、である。

 

幽霊のイメージをインストールさせないような別のイメージとはどうゆうことか。

私たちには海王星同様、物理学や化学、生物学といった様々なソフトウェアが脳内にインストールされている。イメージ共有ツールといったとこだ。

宇宙には酸素が無いと知っているし地球上では重力が働くことを知っている。人間は神に創造されたものでなく猿の先祖から進化してきたことも知っている。

これは学校で学んだからでは無い。私たちの社会がそれ自体を前提として動いているからだ。もしあなたが「俺は神に創られた、I can fly. 」などと豪語すれば、精神病棟に入れられかねない社会だ。

この社会で生きていくためにはそれらのソフトウェアが不可欠で、逆にこの社会で生きていれば自然と、好まずとも、インストールされてしまう。

小学校教育なんかはこのインストール速度を速めるためにある。子供をいかにして社会に適応させていくか、社会が真実と認めるものをどれだけ多く詰め込むか。

それら社会への適応に必要なソフトウェアの中に、幽霊に関するものは含まれない。

ホモサピエンスの起源にも、ピラミッドの創造にも、マリリンモンローの死についても、謎なことはあってもそれを心霊現象で説明はしてこなかった。今の社会で生きていくために幽霊の理解など全くもって不必要なのだ。

むしろ心霊現象は社会にとって悪とも言える。例えばポルターガイストは重力を無視しているし、幽体離脱は生物学を否定する。もしこんなことが日常に頻繁に起こるのならば、私たちは小学校で心霊学を学ばなければならないだろう。恐らく法を変える必要もある、私から離脱した幽体が他人の家に入るのは侵入罪になるのか否か。政治家は心霊現象頻発者の票を得るためのマニフェストをつくらなければならないし、企業はポルターガイスト用の机なんかもつくらないとダメだ。

つまり、私たちの既存のソフトウェアにとって、幽霊はウイルスのようなものなのだ。人間というハードウェアを破壊しかねない。

そしてさらにいえば、だから私たちの脳内には「幽霊はいないことにしよう」という控えめなセキュリティソフトが入っている。多少の心霊現象では人間は壊れないようにできているのだ。

 

しかし、社会の変化とともに、私たちのソフトウェアは絶えずアップデートされていく。進化論が社会に受け入れられるまでは超自然的な生命の誕生が当然だったように。

数十年、数百年後には幽霊が当たり前の存在になっているのかもしれない。

 

 

だから結論としては、"今の社会において"海王星は存在するが幽霊は存在しない、だ。

 

 

 

 

少し長くなったが、友人と幽霊の有無について議論する際には、上記の内容を是非使っていただきたい。